吟遊詩人

白木屋にいらっしゃいました。
彼は外国の方らしく綺麗な金髪でした。
そして彼は語りだしました。
それはある男が長野へ行った時のお話…。
男曰く、『人間とは必死になれる目的があれば何でもやれる…乗り越えられる』といつも言っていたと言う。
その言葉の理由が何だったのか問うと彼はこう答える。
『その男はあるアイドルに夢中だったんだよ…』
男はたった1人でマイカーを走らせ長野を目指したと言う。
しかも下道で…。
手持ちのチケは33列。だが男を止める理由は何も無かった。
おいらは涙が止まらなかった。
何て熱い人なんだと思うと同時に自分はちっぽけな人間なんだと思った。
その後、その男が通った道は国道19号線と名づけられたらしい。
話が終わると彼は『Youもがんばっちゃいなよ!!』とおいらを励まし去っていった。
彼の迷いのない綺麗な目が印象的でした。
そんな居酒屋での出来事。